mardi 5 juillet 2011

ヤスパースからニューヨークでの会話へ、あるいは内なる声に忠実に



深夜、何を思ったか、昨年の夏神戸の古本屋で手に入れた新品同様のヤスパースを手に取る。いずれ読むと思ったのだろう。それを読んでいる時、ニューヨークでの会話が浮かんできた。それは懇親夕食会のビストロで横になったロンドンの建築家転じて哲学の院生になった方とのものである。

その時、どうして今、哲学などをやっているのかと聞いてきた彼に対して説明をしていた。その中で、自らの内なる声に忠実に従っているうちにこうなってしまった、というようなことを話したのだろう。それに対して、あなたはアンビシャスな人ですね、と彼が言ったのだ。その二つがどうしても結び付かなかったので、なぜそう思うのかと尋ねると、彼はこう答えた。自らの内なる声に忠実であろうとすることこそアンビシャスなのではないのですか。論理的には答えになっていないが、彼はそれ以上のことは言わなかった。

この会話が思い出されたのは、おそらく、ヤスパースが35歳の時に出した著作に哲学とは?という大きな問題に立ち向かう意気込みのようなものが溢れているのを感じ、アンビシャスという言葉が浮かんだからではないだろうか。



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