lundi 11 juillet 2011

ポール・ジャクレー、あるいは西と東の交わるところ


La Danse d'Okesa, Sado, Japon
(1952)


Bnf の会員には年に4回ほどパンフレットが送られてくる。
最近のものにこの方の展覧会の案内が出ていた。

ポール・ジャクレー Paul Jacoulet (1902–1960)
落款は、「若礼」

作品を見た第一印象。
色が抜けるように明るい。
そして形に古さを感じない。
一体どんな人間が創ったのか。

彼はパリ生まれのフランス人浮世絵師。
子供の頃に日本に来て、一生日本で暮らした。
日、英、仏の言葉を自由に操るルネサンスマン。
能、歌舞伎、義太夫、バイオリンに三味線、そして蝶の蒐集家。
作品の色の鮮やかさ、多彩さは蝶を見ていた影響では、との指摘もある。

英語は家が近かった野口米次郎のアメリカ人妻レオニー・ギルモアさんに習った。
イサム・ノグチさんの母親に当たる。
不思議な繋がりだ。

日本国内を隈なく旅し、あらゆる階層の人間を描いた。
特にアイヌなどの民族のマイノリティに興味を抱いていた。
民間で伝承されている風俗、習慣などを探し、残しておこうとした。
ミクロネシアやインドネシアなど、南洋にも旅し作品を残している。
そして、韓国、満州、モンゴルへも。

第二次世界大戦中も日本に留まる。
軽井沢に疎開し、野菜や鶏などを市に出して生活していたという。

パンフレットによると、彼の作品は東洋と西洋の宇宙の完璧な統合であり、
浮世絵の作法を踏襲しながらも、この分野に新風を吹き込んだものである。

糖尿病のため、58歳の若さで亡くなっている。




Les Graines de camélia Oshima, Izu
(1957)


2003年に横浜美術館で彼の展覧会が開かれている。
虹色の夢をつむいだフランス人浮世絵師

わたしは今回初めて知ったが、日本での認知度もあまり高そうに見えない。
もっと知られてもよい芸術家ではないだろうか。

彼の家族から贈与された作品のすべてが9月初めまで展示されている。
いずれこの目で観てみたいものである。
彼の作品はこちらでも鑑賞できる。



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mardi 12 juillet 2011

ついでがあったので、展覧会を覗いてみた。
すでにネットで作品を観ていたので驚きはない。
また、圧倒的な印象を残すという作品群でもない。
やはり色は明るく透き通っていて、わかりやすい形をとっている。
題材とは別に、全体にカラッとした印象を与える。

同時に日本の浮世絵も数点展示されていた。
そのすべての作品は全体の印象が暗く、敢えて言えば湿気を感じる。
色も一筋縄では表現できない複雑さがあり、技術が細部にまで行き届いている。
西と東として比較しながら観ていると、興味深いものがあった。


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