Affichage des articles dont le libellé est Lille. Afficher tous les articles
Affichage des articles dont le libellé est Lille. Afficher tous les articles

dimanche 10 novembre 2013

オギュスタン・ベルクさんの語りを振り返る

Groupe des cinq, partie (Eugène Dodeigne, 1974)


今朝、最近触れたいくつかの言葉が繋がり、目が覚めた

ひとつは、丸山健二氏の言っていた 「ベタな表現」

「もの・こと」 をそのまま言っているに過ぎない、という意味だろうか

本居宣長に肖れば、意だけで済まし、姿には目が行かない状態になるのだろう

言葉の背後に何もない状態、すなわち考えていない状態とも言えるかもしれない


それから、茂木健一郎氏の 「日本人は国家は最初からそこあると思い、国家とは何かを考えない」 という言葉

これは状況の中でしか動くことができない状態、自分たちがいる状態を客体化できない状態を表現している

ルスラン・メジトフ(Ruslan Medzhitov)さんのところでも触れた 「対象の客体化の強度」 にも繋がる

この状態を克服するためには根源を問い直す哲学的な問いが不可欠になるが、われわれにそういう発想は乏しい


そこに、昨日聴いたオギュスタン・ベルクさんのお話が絡み合ってきたのだ

上の二つの状態を克服している、あるいはしようとした跡が見られる世界が広がっていると感じたからだろう

あるいはまた、そのような意識があったと言うよりも、文化が自然にそう要求しているのかもしれないが、、

日本では多い解説調のお話ではなく、自己がそこに深く関わっている思索の跡が見える語り

当然のことながら、それを表現する言葉も 「ベタ」 ではない

多くの示唆を得ていた時間であったことを改めて思う




samedi 9 novembre 2013

リールのシテ・フィロで日本の哲学を聴く


今朝、リールに到着

パリ北駅からは1時間で、あっという間だ

この地で Citéphilo という哲学の催しが開かれている

今年は日本の哲学が取り上げられている

フランスから日本の哲学はどのように捉えられているのだろうか

その感触を得るために参加することにした

リールは初めての町になる

コートなしで来たが、少々寒い

すぐに会場のリール美術館(Palais des Beaux-Arts de Lille)に向かった
 



フランスでこの手の会に行き最初に感じた印象がまだ健在である

それは、アメリカでは感じたことのない会場を包む「ビロードのような」とでも形容すべき雰囲気である

新たな世界に繋がる可能性を期待させる何とも言えないものなのだ

そんな中、オギュスタン・ベルクAugustin Berque, 1942-)さんの開会講演を聴く


テーマは、日本人が見ている環境とその思想が日本に特徴的と言えるのか

ベルクさんの経歴を読んでみると、日本のフランス関係の方にはよく知られていることを想像させる

もともと科学(地理学)から始めているので、お話が理解しやすい

人間を環境の中にいる存在という視点で見ている

デカルトのコギトに見られるように、自己が最高の存在で環境が消えている世界を批判する

厳密な決定論を否定することになる

環境と相互に影響し合いながら人間が創られていくという視点を採る

そこで主に論じられたのが、以下のお二人

ヤーコプ・フォン・ユクスキュル(Jakob von Uexküll, 1864-1944)と 『風土』 の和辻哲郎(1889-1960)

ベルクさんは、2011年にこの本を翻訳もされている

Fûdo : Le milieu humain


包み込むようなソフトな語りだが、思わぬ結びつきに目を向けさせてくれる、わたしにとっては刺激的なお話であった

他にも、これからに繋がるお話が多数出ていた

充実した2時間であった



午後のセッションは少し遅れて会場に向かったが、満席で中に入れてもらえない

詰め寄ったが、セキュリティの関係で駄目だという

日本からの発表があるので残念であった

あとで France Inter で放送されるとのことで、引き下がってきた

この欠落が何を意味しているのか、今はわからない


今回は、係の方も驚く盛況

日本の哲学がこちらで注目を集めているという証左なのか

 日本の状況はわからないが、相互に影響し合う関係になるとすれば悦ばしいことだろう


 ホテルのテレビで、水晶の夜事件(Kristallnacht)が1938年の今夜 起こったことを知る

そして、第一次大戦の休戦記念日(11月11日)が近づいていることも