mercredi 26 octobre 2011

リカルド・レイスという人 Ricardo Reis, ou...



昨日触れたオクタビオ・パスさんのエッセイで、不思議な話を知ることになった。ペソアさんは70以上の名前を使っていたが、それは単なる偽名というのではなく、実際に存在しているかのような人間に付けられた名前で、heteronym というらしい。このエッセイによく出てくるのは、Alberto Caeiro、Álvaro de Campos、Ricardo Reis。

最後のリカルド・レイスという人物は、1887年9月19日、午後4時5分、リスボンで生れ、イエズス会で教育を受けた後、医者になる。君主制主義者で、1919年からブラジルに亡命。信仰に対しては懐疑的で、ラテン語の教育を受け、時間を超えて生きている。過去の人間のように見える彼は永遠の智慧の中に生きることを決意したのである。

この人物を主人公にポルトガルのノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴさん (1922-2010) が 「リカルド・レイスの死の年」 (The Year of the Death of Ricardo Reis)という小説を書いている。この小説では、ペサオさんが亡くなったことを知ったレイスさんはブラジルから戻るが、医者としての仕事をすることもなくホテルに住み込み、新聞を読んだり、リスボンの街を当てもなく歩いたりして無為に過ごす。そうしているうちに、生や死がどういうものかわからなくなり、両者の境も見えなくなる。小説の最後で、レイスさんは社会との関係を拒否し続けたその人生を閉じる。こんなお話のようである。

レイスさんの人生、そんなに悪いものではないのではないか。そんな感想が出てくるということは、どこかに重なるところが見えたためだろうか。





ペソアさんは占星術にも凝っていて、その人物の性格に合わせて生年月日を決めていたという。


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