日本における哲学教育を考えなければならない、などという想いが浮かんだこの朝。昨年11月の世界哲学デーで国民教育相のリュック・シャテルさんが話していたリセにおける新しい哲学教育のことを思い出す。
「世界哲学デー」 を発見(2010-11-18)
国民教育省(Ministère de l'Éducation nationale)のページでその詳細を調べてみた。これまでリセの最終学年には哲学があったが、その目的は二つある。一つは判断をする時に深く考える(これまでもよく出てきたキーワード "réfléchir")やり方を学ぶようにさせること、もう一つは哲学文化への入門編を提示することである。今年のラントレからリセの一般コースの1年目と2年目、さらに技術コースの2年生(1年生は来年のラントレから予定)にも哲学が加わることになったようだ。この実験的教育の特徴は、哲学と科学・文学・芸術などの他分野を絡ませる学際性(interdisciplinarité, multidisciplinarité)、個人の自律を促すそれぞれの生徒に寄り添った教育、それから各分野の関連性を発見させ、知の一貫性を感知させる教育の3本柱で、それらにより生徒を知的成熟へ導き、学際性を取り入れることにより学校での学習により明確な意味を与え、哲学の実践に親しむこと。最終的には、分析力を磨き、正確な概念への関心を高め、知的責任の意味を知ることを目指している。
関連ページに今年のリセ最終学年の文学に関する情報が載っていた。
必読書は以下の如し。
● 偉大な作品(中世から古典主義時代)
Gargantua de Rabelais
● 口語と映像(文学と映画)
Tous les matins du monde de Pascal Quignard
Tous les matins du monde (めぐり逢う朝)d'Alain Corneau (film)
● 文学と討論(文学と歴史)
Mémoires de guerre, Tome III (Le Salut. 1944-1946) de Charles de Gaulle
● 現代文学(フランス人、あるいはフランス語による)
A la lumière d'hiver de Philippe Jaccottet
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ところで、今日の写真は生存中にプレイヤード叢書(ガリマール社が出している)に入ったミラン・クンデラさん(ル・モンド特集記事から)。今日立ち寄ることになったガリマール展のビデオ・コーナーで、もう少し穏やかな顔をしていた若き日のクンデラさんがチェコ語訛りの強いフランス語で語るのを見て、急に親しみを覚える。遺伝学の父メンデルと同じ町の生れ。展覧会については明日触れたい。
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