mercredi 8 février 2012

あるフランス人から届いた4年前の便りを味わい直す



前ブログ「パリから観る」を読み直しながら、新しい場所にコピーしていることについては以前にも触れた。はっきり覚えていることと記憶の彼方に去った出来事が混じっている。今回、丁度4年前の2月に Liguea と名乗るフランス人から届いた心に沁みる便りについての記事を見つけた。この記事を見るまで忘れていたメッセージになる。

Liguea 様とのそもそもの交流は、さらにその2年前に遡る。最初のブログ「フランスに揺られながら」の仏版に予言のようなコメントを残してくれたのだ。その中で、わたしの性向を読み取り、愛すべき芸術家・哲学者としてハイデッガー、フッサール、そしてカンディンスキーの名を上げていた(2006-4-28)。また、こちらに来る数カ月前にはフランスの文化の状態について語ったメールをいただいた(2007-5-27)。そして、今回取り上げる2008年のメッセージが続いたのである(2008-2-23)。その便りは、こんな内容であった。

「昨年メールを出してからご無沙汰していました。わたし自身取り込んでおり、パソコンに向かう時間もありませんでした。大変失礼いたしました。

今回、あなたがフランスに来られたということに深く心を打たれています。もはやフランス人でさえ、このフランスの地に立ってフランス語やフランス文化を学ぼうとするあなたに比する愛情を自らの文化に持っているとは言えないでしょう。フランスは今、大きく変わろうとしています。そのすべての精神性とは関係のない世界になっています。わたしは心底フランスには幻滅しています。自らの運命を自らの手で決めることを止めてしまった国には全く魅力を感じません。ご自身の存在にとって意義のある目覚めをフランスから得ようとするあなたの試みに、迸り出る生命の躍動と勇気が与えられますように願っています。

ところで、われわれの道行きが交錯していることにお気付きでしょうか。あなたは科学の世界から科学哲学という抽象の世界へと向かわれています。つまり、あなたは「存在」の新しい理解につながる最も多様な基盤へと向うために、具象の世界から旅立った人なのです。あなたの年齢でそのような道に入られることに深い尊敬の念を覚えると同時に、わたし自身を深い思索へと導いてくれます。反対に、わたしの方は抽象的な場所から現実に戻ることを決めました。ある意味では逃避の世界から具体的なものを作る仕事に就くことになります。それはわたしの青春時代の夢でもあったのです。わたしは40歳を前に哲学を辞め、具象の世界に生きる成熟を得たと思っています。

人生は不思議で驚きに溢れています。われわれの道行きの方向は重要ではありません。どんなに些細なことでも自らの最善を捧げて実現していくという心の在り様こそ重要なのです。フランスがあなたに捧げてくれる最善のもの、そしてわたしが移住することに決めたスイスがわたしに齎してくれる最善のものを期待したいと思います。

最後になりましたが、もしあなたがフランスに長く滞在されるのであれば、あなたをわたしの未来の祖国に招待したいと思っております」

Liguea 様の言葉はいつも的確である。
そのためだろうか。
自分のいる場所に別の方向から光が当てられ、浮き上がってくるように感じられる。
哲学という営みに若い時から勤しんでこられた方だからこそ、見えることがあるのかもしれない。

ところで、いつの日か、招待状は届くのだろうか。




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