jeudi 1 décembre 2011

小さな心の動きに敏感に反応する



本当に嫌になってしまう。今年も何もしないうちに師走を迎えてしまった。

昨日は午後から外へ。途中、古本屋が現れ、中に入る。小林秀雄 「本居宣長」 (1.7 kg) と唐木順三 「光陰」 (0.6 kg) を手に入れる。ご主人と言葉を交わす。この沿線にも沢山ありますので、と言って古書店マップを袋に入れてくれる。昔からあったのだろうか。古書店同士のネットワークを意識しているように感じる。

それから近くの蕎麦屋さんへ。壁に掛っている浮世絵のポスターを撮ってよいかお聞きしたところ、問題ありませんとの答え。写真を撮り終わって席に戻ったところ、思い掛けないことが待っていた。おかみさんが蕎麦が絡んだ来年の浮世絵カレンダーを手に、ここに素晴らしい絵がありますから持って行って下さいという。こんな小さな心の働きかけに感激できるようになっている。

まだ時間があったのでカフェへ。手にしていた古書店マップに気付いたお店の方がやや頬を赤らめながら、古本屋巡りですか、と声を掛けてきた。マニュアルからはみ出した言葉には労わりの心が漂っていた。このような言葉が若い方から出てきたことを嬉しく思っていた。マグカップを手にゆっくり歩いてきた着物姿の初老の男性からは、ここに置かせていただいていいですか、と聞かれる。久し振りにシガーを手に道行く老若男女を眺める。多彩で奇抜な服装をしている人が多いのに驚く。4年振りの定点観察だったが、前回よりふわふわとしていて根がどこにあるのかわからない、掴みどころのないような人の波に見える。記憶が確かであれば、だが、、。先ほどの男性が、ありがとうございました、と静かにお辞儀をしてから入ってきた時と同じ歩調で去って行った。やはり態度に示さなければ気持ちは伝わらないのだろうか。小さな心の動きを感じる気持ちの良い散策になった。





夜は30年来の友人と4年振りに河豚料理をつつきながら語り合う。現世に積極的に向かって行こうというタイプとその枠から離れて役にも立たないことを考えながら生きていきましょうという対極のタイプになる。わたしにとっては現世が見えてくる刺激的で面白いお話の連続。あっという間に3時間が過ぎた。

帰り道、同じ領域の若手研究者とばったり。開口一番、こんなところで何してるんですか?と、当然の疑問をぶつけられる。こちらも驚いたので同じ質問をすると、夜食を取るために大学から自宅に戻るところだった。不思議だが、昨年の学会でも同じ質問を同じ研究者から受けたことを思い出す。驚きの接触が続いた一日を締めくくるに相応しい幕切れだった。



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