samedi 22 décembre 2012

バディウさんによる現代フランス哲学


今日は朝から雨音が聞こえる

バルコンに出て、シガーとともに雨音を味わう

週末のラジオ・クラシックは語りが少なくなるので快適である

雨音の中で聴くヨーロッパの音楽

心が静まりかえる


先日のリブレリーでのこと

アラン・バディウAlain Badiou, 1937-)さんのこの本に目が行く

La Fabrique, 2012)

早速イントロを読んでみた

バディウさんが身近な哲学者をどう見ているのかがわかり、興味深い

バディウさんが分析するフランス現代哲学の特徴の中には、わたしの深いところにある願いと響き合うものもある


哲学の歴史を振り返ると、特に重要な「時機」が二つある

一つはパルメニデスからアリストテレスに至る古代ギリシャの時代

それからカントからヘーゲルに至るドイツ観念論の時代

バディウさんは、そこに「現代フランス哲学」を加えようとしている

現代とは20世紀後半から現在までを指し、指標として二つの作品と次のような人物を挙げている

サルトル存在と無』 (1943)

ドゥルーズガタリとの共著) 『哲学とは何か』 (1991)

この間にいる人として

 バシュラールメルロー・ポンティレヴィ・ストロースアルチュセール

ラカンフーコーリオタールデリダ

この周辺から現在に繋がる人として

ジャン・リュック・ナンシーフィリップ・ラクー・ラバルトジャック・ランシエール、アラン・バディウ



その上で、「現代フランス哲学」の特徴について次の4点から解析する

(1)起源、(2)哲学的活動、(3)哲学と文学の関係、(4)哲学と精神分析の関係

(1)起源

20世紀後半からの哲学の起源を考える場合、20世紀の初めに戻らなけれはならない

そこに二つの源流が見えてくる

一つは、1911年にベルグソンがオックスフォードで行った講演 『思想と動くもの』(後に出版)

もう一つは、1912年にブランシュヴィックが発表した 『数理哲学の諸段階』

ベルグソンが生命の哲学を志向したのに対して、ブランシュヴィックは概念の哲学を提唱した

生命と概念の対立がフランス哲学の中心的課題で、それが主体の問題に繋がって行ったのである

それは、人間が生きた体であると同時に、概念を生み出すからである

さらに源流を遡るとすれば、最終的には哲学的に主体を確立したデカルトに辿り着く

彼は物理的な体についての理論を打ち立てただけではなく、省察についても理論化した

つまり、物理学と形而上学に興味を持った人物であったことになる

事実、20世紀後半にはデカルトについての膨大な議論があった

(2)哲学的活動

次に、この時期にどのように哲学が行われたのかについて考えてみよう

第1の鍵は、デカルトの遺産とともにドイツ哲学についての議論である

例えば、コジェーヴによるヘーゲルのセミナーにラカンやレヴィ・ストロースが興味を示した

また、若き哲学者による現象学の発見がある

ベルリン滞在中にフッサールハイデッガーを読んだサルトル

 ニーチェが重要な哲学者だったフーコーやドゥルーズ

カントについて書いたリオタール、ラルドゥロー、ドゥルーズ、ラカン

何をするために彼らはドイツに向かったのか?

それは、概念と存在との新しい関係を探るためだったとバディウさんは言う

20世紀初めからフランス哲学の興味は生命と概念であった

両者の関係を新しい方法で解析できないかと考えたとしても不思議ではない


第2の鍵は、科学である

彼らは、単なる知の問題を扱う場合とは比較にならないほど広大で深いものが科学の中にあると考えた

科学を現象を明らかにするものとしてだけではなく、芸術活動にも匹敵する創造的活動のモデルとして捉えたのである

バシュラールが詩と同じように物理学と数学について考えたように


第3の鍵は、政治的活動である

この時期の哲学者のほとんどすべてが政治的問題を哲学しようとした

サルトル、戦後のメルロー・ポンティ、フーコー、アルチュセール、ドゥルーズ、

ラルドゥロー、ランシエール、クリスチャン・ジャンベ、フランソワーズ・プルースト、バディウ

彼らは概念と行動との関係を模索したのである


第4の鍵は、哲学を新しくすること

政治の現代化が語られる前に、哲学者たちは芸術、文化、習慣の変容を欲していた

哲学は抽象絵画、現代音楽、探偵小説、演劇、ジャズ、映画、性、生活スタイルに興味を持っていた

 と同時に、幾何学や論理学というような形式主義にも情熱を持っていた

 そこには概念と形の運動との新たな関係の模索が見られる

哲学の現代化を通して、哲学者たちは形の創造に繋がる新しい方法を探していたのである



(つづく)





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