縁あって、今年から「医学のあゆみ」という医歯薬出版の医学総合雑誌に月1回の予定でエッセイを書くことになった。まず、このような機会を与えていただいた編集者の岩永氏に感謝したい。第1回目は「科学から哲学、あるいは人類の遺産に分け入る旅」と題して、哲学に入るまでの心象風景を綴った原稿を送ったところである。どこかで目に触れた折にはご感想、ご批判をいただければ幸いです。
昨年12月、岩永氏からこのシリーズのタイトルを依頼された後、島ご夫妻の案内で東北の被災地を訪問した。その時、不思議なことにどこからともなくこんな言葉が降りてきたのだ。
「パリから見えるこの世界」
その後いろいろ考えたがどれも作りものに見えて満足できず、これをそのままタイトルとして使うことで岩永氏の同意を得た。フランス語訳は、Un regard de Paris sur ce monde とした。
ところで、このところ折に触れて前ブログ「パリから観る」を読み直しているが、今回一つの発見をした。それは、こちらに来る前年の2006年のこと。これからの道を探る過程で、パスツール研究所のマルク・ダエロン博士とメールのやり取りをしていた。その中にこんな希望を書いていたのだ。
「パリをベースに、世界を観察しながら、歴史、哲学、科学についての自らの考えを深めることができれば素晴らしいのだが、、、」
そして一線を踏み越える (2007-3-26)
この観察者の目の位置と今回のエッセイの著者のそれとがあまりにも近いことに驚く。被災地の景色を眺め、そこの空気を吸い、その土の上を歩く。それらのすべてが自らの原点に無意識のうちに触れさせてくれたのではないか。そう思いたくなるような発見であった。
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