samedi 11 mai 2013

今欠けているもの、それは新しいものの見方の理論か


前回、思想や理論の重要性を再検討している Le NouvelOb の記事について触れた

その記事は、2010年のアヴィニョン演劇祭(Le Festival d'Avignon)でのある女性の訴えから始まっている

 「思想はどこに行ったの?思想を生業にしているあなたはどこにいるの?」

 今、思想や理論的省察を求める声が上がっている

「もの・こと」 を照らす分析、視野を開くヴィジョン、熱狂させる思想家を求めている

しかし、それは手に入らない 

このような状況を考慮に入れ、今生きている世界の思想家を調べることにしたようだ

彼らに共通するのは、理論や概念は考えることを助け、それによって自らを成長させるものであるという信念である


この時代は、思想や理論を敬遠する傾向に溢れている

また、偉大な思想家、思想のスーパーヒーローが生まれにくい時代でもある

ただ、思想がないというよりは、思想や理論が溢れている状態なのかもしれない

それは、専門の中に閉じ込められている可能性がある

超専門化の進む現代においては、専門を超えて大きな問題を考えることは批判の対象にさえなるからだ


ただ、思想への渇望は大きい

例えば、フランスではわたしも読むことのある Philosophie Magazine が成功を収め、新しい出版社もできているという

また、France Culture の中で、哲学番組が最も多くのリスナーを集めているという

閉塞し、単調な生活を余儀なくされているこの世界の縛りを解くために、思想を得ようという欲求が高まっている

何か新しいもの、新たな選択肢を求めているということかもしれない


冒頭のインタビューで、カナダの哲学者チャールズ・テーラーCharles Taylor, 81)さんが語っている

今日における思想家の役割は、現実を捉える時に邪魔になるイデオロギーの壁を破ること

現代においてすべてを知ることは不可能ではあるが、できるだけ大きな枠組みの中で考えること



因みに、この特集で取り上げられている思想家(出身、年齢)は以下の通り

社会

ジュディス・バトラー(Judith P. Butler) アメリカ、57

ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク(Gayatri Chakravorty Spivak) インド、71

ハルトムート・ロザ(Hartmut Rosa) ドイツ、47

ジョーン・トロント(Joan Tronto) アメリカ、61

 ジグムント・バウマン(Zygmunt Bauman) イギリス、87

アクセル・ホネット(Axel Honneth) ドイツ、63

民主主義

ジャック・ランシエール(Jacques Ranciere) フランス、73

フィリップ・ペティット(Philip Pettit) アイルランド、67

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben) イタリア、71

ユルゲン・ハーバーマス(Jürgen Habermas) ドイツ、83

ピエール・ロザンヴァロン(Pierre Rosanvallon) フランス、65

資本主義

マイケル・サンデル(Michael Sandel) アメリカ、60

アマルティア・セン(Amartya Sen) インド、79

イザベル・ステンゲルス(Isabelle Stengers) ベルギー、63

ブルーノ・ラトゥール(Bruno Latour) フランス、65

ジャン・ピエール・デュピュイ(Jean-Pierre Dupuy) フランス、72

 トーニ・ネグリ(Toni Negri) イタリア、80

フィリップ・ヴァン・パレース(Philippe Van Parijs) ベルギー、62

人間

ペーター・スローターダイク(Peter Sloterdijk) ドイツ、65

アラン・バディウ(Alain Badiou) フランス、76

ダナ・ハラウェイ(Donna Haraway) アメリカ、68

ピーター・シンガー(Peter Singer) オーストラリア、68

スタンリー・カヴェル(Stanley Cavell) アメリカ、86

スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek) スロヴェニア、64




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