mercredi 23 janvier 2013

ハインツ・ヴィスマンさんによる文明と文化







ハインツ・ヴィスマン(Heinz Wismann, 1935-)というドイツ出身の文献学者で哲学者がいる

ファースト・ネームはフランス語では、「アインツ」

昨年気になるタイトルの本を出しているが、まだ手にしていない

Penser entre les langues (Albin Michel, 2012)


今回は、この方も編者になっている La Science en jeu (Actes Sud, 2010)にある一編を読んでみた

フランス語では、「文明の衝突」(le choc des civilisations)、「文化の対話」(un dialogue des cultures)と言うらしい

「文明の対話」とは言わないのはなぜなのかという疑問から始まり、文明と文化の違いを探っている

日本語では必ずしもそこまで厳密には使われていないように見えるが、、、


これまでは、例えばエドガール・モラン(Edgar Morin, 1921-)さんの以下の定義を基に考えていた

文化とは、ある特定の社会に特有な価値感や信仰などの総体

文明とは、技術、知識、科学、経済などの総体で、ある社会から別の社会への伝達が可能なもの

今回、新たなニュアンスが加わるのだろうか



文化(culture)の語源はラテン語の colere で、「気を配る、大切にする、世話をする」という意味がある

歴史的に見ると、最初の文化は農業(agricultura

それからメタファーで神聖なるものにも当て嵌められ、culturacultus が同じように使われる

カルト(culte)という言葉は、文化の第二の意味に由来することになる

紀元前1世紀、キケロ(Cicero, 106 BC-43 BC)が使った cultura animi (魂の手入れ)により、三番目の意味が加わる

それから長い間神聖なものが中心だったが、ルネサンスになると人間が書いたものがイタリアに入ってくる

そこで、ユマニストたちは土や神や魂ではなく、より人間的なものを文化という言葉に込めるようになる

それが言語的な文化であった

その典型がダンテ(Dante Alighieri, 1265-1321)

彼は、すでに書かれたものを繰り返すのではなく、言いたいことを言わなければならないと主張した

トスカーナ地方の生き生きとした方言を使い、ラテン語の文法を少し加味した傑作が 『神曲

神ではなく人間が書いた作品

これが言葉と知識により人間を表現する文化の源流となった


(続きます)




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