lundi 9 septembre 2013

東京医大での講演終わる、そして現象学が再浮上

水口純一郎 (東京医科大学)、宮澤豊(東京医科大学)の両氏


今日は夕方から東京医科大学で講演があった

会場は大学だと思って出掛けたが、大学では守衛さんがホストの水口先生は今病院に向かわれたと言う

わたしも慌てて病院に向かい、何とか間に合うことができた

講演の対象は大学院生だと思っていたが、会場には成熟した聴衆がほとんど

説明によると大学院教員のFDの一環だという

FDとは Faculty Development のこと

演題を 「医学・科学のための哲学を考える」 とした

哲学的視点から現代科学・医学の特徴と問題点を炙り出し、それを乗り越える新しい道を提案した


大学院医学研究科長としての企画の意図を、水口氏は次のように説明されていた

「爆発的に増える医学関連情報をどのように処理・理解するか

そしてそれらをどのように構造化するか、ということが問われている

医療の実践に当たっては

医学の科学的な側面と医療倫理、道徳、経済などの文系の領域を総合的にとらえるアプローチが求められている

このような課題を克服するための糸口・きっかけを探る目的で今回の講演を企画した」

FDの目的に叶う内容だったことを願うばかりである


講演の後の質疑応答も40分ほどに及び、充実した時間となった

例えば、科学者からは次のような質問が出された

生命現象は物理化学に還元して一元的に説明できるようになるのか

あるいは、生命の哲学は物理化学とは一線を画す独自のものとしてできあがるものなのか

 哲学と言えども、科学的な論拠の上に論じるのでなければ説得力はないのではないか

つまり、安易に形而上学へと飛躍することには問題があるのではないのか

教育について研究されている方からは、現在行われている教育とその哲学には問題がある旨の発言があった

その危惧には全面的に同意せざるを得なかった

哲学の西研教授が参加されていたことには驚くと同時に恐縮したが、専門家の立場から多くの指摘があった

また、ご専門の現象学についての助言もいただいた

中でも、フッサールの問題意識とわたしのそれとが重なっているとのお話には驚いた

現象学と言えば、もう7年前になるが一つの重要な出来事があったからだ

イメージ、時間、現象学 L'IMAGE, LE TEMPS, LA PHENOMENOLOGIE (2006-04-28)

未だ手付かずの現象学

これから考えていく上で、また現象学と向き合う時の糧にして行きたいものである


講演会には東京医大の常任監事をされている宮澤豊先生も参加されており、10年振りに再会することができた

 このように時を隔てて繋がりが蘇るのを見るのは、やはり心地よいものである


講演週間の初日は予想を超える豊穣の時が流れた


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 一夜明け、水口氏から次のようなコメントが届いた
「色々なバックグランドをもった研究者が集り、根源的な問いについて予定時間を超える熱い質疑応答があったことは、想定外の収穫でした。根本に立ち返って思索を繰り返す事によって、不確実な時代を乗り越えていきたいという大学人の熱気を感じました」

また、事務を担当された青山女史が次のようなコメントを寄せてくれたとのこと
「日常の思考活動において情報のインプットだけではなく アウトプットする際の試行錯誤により哲学を実践できるのでは、と感じました。思考停止になりがちな現代に生きておりますが、興味をもって拝聴することができました。 本当にありがとうございました」




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