samedi 4 juillet 2015

映画 "Still Life" を観る


その時、わたしは機内にいた

それまで音楽を聴いていた

そして、最後の2時間になった時、目に入った 『おみおくりの作法』 という映画を観ることにした


静かな映画である

大きな動きがある時もさざ波にしか映らない

孤独死が中心にあり、その最期を看取る公務員が主人公だ

彼は期待されている以上の仕事をしている

亡くなった人間の人生を復元しようとして考え、動く

そして、最後は葬儀、埋葬を行い、一人で看取るのである

葬儀に参加したがる人間はいないからだ


しかし、これが経済原理には合わないらしい

安く上げるには、埋葬ではなく火葬

葬儀は生きている人のためであり、参列者のいない葬式には意味がない

そんな葬式は死者のためのものではないか

これが行政の言い分だ


彼はある日突然首を宣告される

しかし、取り掛かっていた仕事の完結を見るまでやり遂げる

そして、その人間のために自分が用意していた眺めの良い墓地まで譲るのである




彼の生活ぶりを外から見ると、質素で、簡素で、単調である

しかし、この公務員の仕事ぶりには細部を見逃さない丁寧さがある

静かな拘りと情熱がある

それはどこから来るのか

そのヒントはあっただろうか


映画の最後には二重三重の驚きが待っていた

ここで終わるのかと思った時、虚しさが残った

しかし、最後の最後には救いが待っていた

その時のわたしにはぴったりくるイギリスの匂い漂う素晴らしい映画だった


幸運を齎してくれるのは、やはり偶然なのか

そして、それは必然でもあるのだろうか





わたしがこちらの大学生活で学んだ貴重なことがある

そのことをこの映画を観ながら思い出していた

エディー・マーサン演じる主人公が、教会に一人いて見送っている姿を見た時

こちらの大学の先生が院生数人に対して講義する姿と重なったのである

教室が溢れるようなクールもあれば、2-3人のものもある

しかし、僅かな学生に対しても何ら変わることなく講義をする

それまで数に敏感であった身からすると、それは目を開かされる経験となった

それ以来、以前の拘りがわたしの中から完全に消えて行ったのである






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