jeudi 12 avril 2012

加賀乙彦著 『科学と宗教と死』 を読む


今回、初めて書店に入る
店頭に並んでいる本は立ち読みで読み終わりそうなものばかり
時間のない現代人はそのようなものでなければ手に取らないのだろうか
 
加賀乙彦著 『科学と宗教と死』 (集英社新書、2012) が目につく

タイトルの宗教を哲学に置き換えると私のテーマと重なるので手に入れる
この本も移動中に読み終える
自らの人生を振り返り、率直に語っている

先の大戦前後も今回の3・11でも国民は真実を知らされなかった
国民に嘘をつく国である、とまで言っている
アメリカについてもナチスのイギリス侵攻を非難したにもかかわらず、日本には原爆を落とした
その行為を正当だと感じているアメリカに対する驚きと不信感がある
そこに人種差別を見ているのかもしれない

ある死刑囚との付き合いから、簡単には捉え切れない人間の多面性について語っている
生まれながらではなく、キリスト教徒になることを自らが選択した過程も語られている
  心は表層にあるもので、その奥深くに魂があると著者は考えている
その上で、心の付き合いではなく、魂が響き合う付き合いでなければ意味がないのではないか
そこまでいかなければ満たされないのではないか
心を扱う心理学では解決せず、心の襞に入り込むものが必要になるのではないか
この本で著者が一番言いたかったことはそこではないかと考えていた

日本の文明開化では科学・技術は導入されたが、科学を支えている精神文化を取り込むところまでいかなかった
われわれは生活から精神性を排除して歩んできたように見える
仏教徒が20%、キリスト教徒は30%を占めるといわれる韓国の状況とは対照的だ
以前に科学とそれを支える精神性についてこの場でも触れたことがある


「もの・こと」の現象の背後にある目には見えないものの存在に気付くこと
これから起こるであろう問題が要求するのは、そこに行き着くのかもしれない
それが理解されていないと、同じことを繰り返すことになるだろう
時の流れに向き合った哲学を創り上げていく必要があると著者も言っている
一哲学徒としては、このメッセージも大切なものとして受け取った




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