mardi 3 avril 2012

嗜好を育てられる



昨日の散策時、あることに気付く

こちらに来て新たな領域に入り、感覚器から入ってくるものはどんどん取り入れるようにしてきた

もちろん、科学、哲学、歴史という大きな枠はあるが、ほとんど取捨選択のフィルターをかけることなく

それは大学での課程に対応する形で行われていた


こちらに来る前、この領域のものを読んでみたが今ひとつピンとこなかった

面白いとは思えなかったのだ

ただ、その中に入れば興味が湧いてくるのではないかとは予想していた

実際、講義やセミナーを聴くうちに、実験科学の世界で縛りがかかっていた頭の中が徐々に緩んでいくのを感じていた

思い出すのは、最初に参加したセミナー

どこが問題なのか、なぜそのような話をしているのか

掴もうとしても掴めないもどかしさを感じていた

実は、日本からフランスへの移行期のことを思い出さないと、その後に起こっているであろう変化にも気付かない


こちらに滞在して自分の時間を自由に使い、思索を深めてみたいというのが当初の希望だった

それがどのようなものになったのか、今となっては想像の域を出ない

日本にいる時は焦点を絞って読むということはなく、暇つぶしの読書となっていた

時間もなく、これと言って興味が湧く領域もなかったのでそれほど読むことにもならなかった

そのことを思い出すと、自分一人で一体どれだけのことができたのか、甚だ心許ない

 ひょっとすると、こちらの大学の学生になるという想定もしていなかった道は、実は最良のものだったかもしれない

その道を進むことで、フランス語で言うところの goût (関心の向かうところ、嗜好) を育てられたような気がしているからだ

 将来、別の領域に興味が移ることがあったとしても、同じようなやり方でやっていけばよいということもわかる

その意味では、嗜好の育て方についても知らない間に教えてもらっていたのかもしれない

 最初に期待していたものの姿が一つだけ見え始めている

そんな印象を持った春の日であった




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